接骨院と整形外科の違いとは?それぞれの歴史も解説

体に不調が出た場合接骨院と整形外科どちらを選ぶのか

接骨院と整形外科は治療内容が異なります。体に不調がある場合、どちらで治療を受けるべきか悩まれるかもしれません。
本記事では、接骨院と整形外科の違いについて解説します。施術や保険の違いを中心に解説します。また、西洋医学と東洋医学、歴史などについても触れるので参考にしてください。
体の不調を改善したい場合にはどちらを利用するか検討し、適している方を訪れましょう。

 

接骨院と整形外科の違いとは?

接骨院と整形外科はどう違うのか

接骨院と整形外科は、骨や関節、筋肉に対する施術を受けられる点では同じです。しかし、施術内容を細かく確認すると以下のような違いがみられます。

 

  • ・接骨院:手技や電気、運動療法など、非侵襲・低侵襲的な治療(身体へ負担を与えない、負担が少ない)
  • ・整形外科:投薬や手術など、侵襲的な治療

ここでは施術内容や保険の違いについて解説します。接骨院と整形外科のどちらを受けるか悩んでいる方は、施術内容や保険適用を選ぶ材料にしてはいかがでしょうか。

 

施術の内容

接骨院と整形外科の施術内容による違いを紹介します。

具体的には以下の通りです。

接骨院 ・主な対象症状:捻挫、打撲、骨折、脱臼など
・主な資格:柔道整復師(国家資格)
・主な施術:手技療法、電気などの物理療法、運動療法
整形外科 ・主な対象症状:運動器の疾病や外傷全般
・主な資格:医師(看護師、理学療法士、作業療法士などが在籍する医院も)
・主な診療:診断、レントゲンやMRIなどによる画像検査、投薬、手術

 

接骨院では、手技療法や物理療法、運動療法などで、人体にもともと備わっている自然治癒力を高め、症状の改善を目指します。

具体的には、折れた骨や外れた関節を正しい位置に戻す「整復」、テーピングやギプスなどで患部を「固定」する施術、関節の可動域を広げたり、筋肉の緊張を緩めたり、骨盤の歪みを矯正したりする「手技」などです。

最近では、超音波やハイボルテージ、微弱電流治療器など、効果の高い医療機器をメインの施術として、痛みを素早く鎮めたり、組織の修復力を高めたりする接骨院も増えています。

 

一方、整形外科では画像などによる検査と、病状の診断、投薬が診療の中心です。場合によっては外科手術を行うこともあります。また、リハビリ施設のあるクリニックの場合、理学療法士などによる、物理療法や運動療法などのリハビリも受けられます。

なお、一度手術を受けると体の構造や組織が変化し、二度と元には戻らない為、手術を受けるかどうかは十分検討されることをおすすめします。同様に、薬には必ず副作用があり、薬が増えれば増えるほど、長期に服用すればするほど身体にダメージを与えることになるため、薬の服用にも十分注意しましょう。

 

保険の違い

接骨院や整形外科では、保険適用についても違いがあります。
具体的には以下の通りです。

 

  • ・接骨院:急性外傷(骨折、脱臼、捻挫、打撲)に該当する治療は、健康保険が適用されます。しかし、日常生活の肩こり、慢性的な腰痛や関節痛は適用されず全額自己負担
  • ・整形外科:慢性疾患であっても保険適用で治療を受けられる。しかし、美容に関する施術については自己負担

慢性的な症状を保険適用で治療したい方は、整形外科での治療もよいでしょう。一方で、急性外傷などは接骨院でも保険治療が受けられるため、できるだけ薬を避けたい方、待ち時間なく治療を受けたい方は接骨院がおすすめです。

 

接骨院と整形外科は西洋医学と東洋医学の違いも関係している?

東洋医学の違いの関係性

接骨院と整形外科は、ベースとしている理論にも違いがあります。
具体的には以下の違いがあります。

  • ・整形外科:西洋医学
  • ・接骨院:東洋医学と西洋医学の両方

ここでは、西洋医学と東洋医学の違いについて詳しく解説していきます。

 

【西洋医学】病原に注目する医療

西洋医学は、患者さんの病状を科学的、局所的、理論的に分析し、症状の原因となっている病巣や病原を、薬・手術などで直接攻撃・除去する医療です。血液検査や画像検査などの客観的なデータとエビデンス(科学的根拠)を重視します。現在、主流の医学であり、即効性が高いのが特徴です。

最先端医療機器や特効薬による治療が可能な一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • ・薬の副作用や依存性
  • ・痛み止め薬や湿布などは対症療法的
  • ・画像診断の正確性は50%程度
  • ・手術による様々なリスク
  • ・原因不明/病名のない症状は治療不可

こうした西洋医学が弱い部分に対して、東洋医学が強みを発揮できる場合があります。

 

【東洋医学】心身のバランスの崩れに注目する医療

東洋医学は、膨大な経験則をベースにした古代中国やインド、日本で生まれた伝統医学です。病原を直接攻撃するのではなく、心身のバランスの崩れを整え、自然治癒力を高めることで、痛みや不調を改善していきます。病気ではなく、「病人」を見ることを重視し、その患者さんに現れている様々な症状(証)をもとに、心身の状態を判断していきます。

治療方法には、針灸やあん摩・整体・漢方などがあり、人間の身体にもともと備わっている治ろうとする力(自然治癒力)や体の状態を一定に保とうとする力(生体恒常性)などを高め、症状の改善を図ることから、体への負担が少ない点が特徴です。また、抵抗力や免疫力を高めて病気を未然に防ぐことも重視しています。

このように、たとえば原因不明で西洋医学では改善できない症状でも、東洋医学的なアプローチで改善できる可能性があります。

 

接骨院と整形外科の歴史とは?

接骨院と整形外科の歴史について

接骨院と整形外科はそれぞれ以下のような歴史の違いもあります。

 

整形外科 ・文明開化後の明治39年(1906年)東京帝国大学に整形外科講座が開設され「整形外科」と初めて命名された
・日本での歴史は120年弱
・世界で最初に「整形外科」の文字が使われたのは1741年(パリ大学の医学部長Nicolas Andry)
接骨院 ・平安時代(794年〜1185年)に「接骨」「整骨」の言葉が記されている
・日本で800年以上の歴史

接骨院の歴史を紐解くと、平安時代に戦場での手当てや負傷者の救護、回復までのリハビリを行なった活法などに辿り着くと言われています。その長い歴史の後、解剖学や生理学などの西洋医学を取り入れながら発展し、現在の形に至っています。

 

 

まとめ:接骨院と整形外科の違いを理解し、ご自身に合った治療を受けよう

接骨院と整形外科の違い

接骨院と整形外科の違いを理解できたでしょうか。

  • ・手術が必要なけがや精密検査・薬が必要な場合は整形外科
  • ・薬に頼りたくない方や手術を避けたい方、手技を受けたい方や根本から症状の改善を図りたい場合は接骨院

 

施術内容でどちらを選ぶか悩んだ場合には、上記の点や、東洋医学や西洋医学それぞれの魅力も踏まえて検討してみてください。